SPIDERPLUSとは?
SPIDERPLUSは、スパイダープラス株式会社が開発・提供する、建築・設備工事現場の図面管理や写真整理、各種検査業務をタブレット端末上で完結させる施工管理アプリです。2024年4月から建設業に時間外労働上限規制が適用され、現場監督の労働時間の多くを占める事務所での内業削減が急務となるなか、紙図面の持ち歩きをなくし、図面上への写真・メモの紐付けやワンクリックでの帳票出力を可能にします。特に空調・衛生・電気といったサブコンや専門工事業者、ゼネコンの設備・建築現場において、現場作業と事務作業の省力化を目的に幅広く利用されています。
主な機能
図面・写真管理機能
- 図面管理・図面メモ
CADやPDFの図面データをタブレットに取り込み、現場へ持ち運ぶことができます。図面上の任意の位置をタップしてメモや指示を直接書き込めるため、現場での確認事項や是正指示の伝達漏れを防ぎ、紙図面の印刷・持ち歩きにかかる手間を削減します。 - 工事写真撮影・電子小黒板
タブレット上で電子小黒板を作成し、撮影画面上に配置して工事写真を撮影できます。撮影した写真は図面上の該当位置に自動で紐付けられるため、事務所に戻ってから行っていた写真の仕分けや台帳への貼り付け作業を現場で完了させることが可能です。 - 帳票・報告書自動出力
現場で記録した写真やメモ、検査データをもとに、あらかじめ設定したフォーマットの帳票や報告書をワンクリックで出力できます。写真台帳や施工記録の作成に要していた長時間の残業を大幅に圧縮し、書類作成業務の効率化を支援します。
業種特化・検査連携機能
- 外部測定機器(IoT)連携
風量測定器、圧力計、温湿度計、照度測定器などの外部計測機器とBluetoothで接続し、測定値をアプリ内に直接取り込めます。手書きメモによる数値の転記作業をなくし、測定結果の入力ミスや改ざんリスクを防止しながら検査記録をデジタル化します。 - 建築向け各種検査(配筋検査・杭施工記録・仕上検査)
配筋検査や杭打ち施工の記録、竣工前の仕上検査など、建築工事における重要な検査工程を専用機能で効率化できます。検査箇所のチェックや是正前後の写真管理を図面連動で行えるため、検査精度の均質化と確認漏れの防止に寄与します。 - 設備向け専門機能(風量・圧力・幹線測定)
空調衛生設備における風量測定や配管圧力試験、電気設備における幹線・照度測定など、専門工事特有の検査項目に特化した入力・帳票出力機能を備えています。設備工事会社のノウハウを反映した設計により、サブコンの現場管理実務を直接サポートします。
データ管理・運用支援機能
- 大容量図面の高速閲覧とオフライン動作
電波の届きにくい地下ピットや鉄骨造の密閉空間など通信環境が不安定な現場でも、事前に端末へ図面データをダウンロードしておくことで遅延なく閲覧や記録が行えます。通信環境が復帰した際にサーバーへデータが自動同期されるため、場所を選ばずに運用を継続できます。 - BPO(検査準備代行)サービス
現場での検査業務を円滑に開始できるよう、図面の取り込みや事前プロット、検査用マスターの作成といった準備作業をスパイダープラス側へ外部委託できるサポート体制が用意されています。繁忙期の現場監督にかかる初期設定負荷を軽減します。
こんな企業・現場に向いている/向いていない
向いている企業・現場
設備工事(空調・衛生・電気)や専門工事の検査工数を削減したい企業
- 風量や圧力などの計測機器からの転記作業や帳票作成に追われている
風量測定器や圧力計などの外部計測機器とBluetooth連携させることで、測定数値を端末に直接取り込めます。手書き記録と事務所でのExcel再入力作業が不要になり、オーク設備工業株式会社の導入事例では1人あたり月8.5時間の時間削減が報告されています。 - 紙図面と黒板を用いた現場巡回で写真の仕分け作業が深夜まで及んでいる
電子小黒板付きの写真撮影と図面位置への自動紐付けにより、撮影後の写真整理が現場作業と同時に完了します。スパイダープラス株式会社のユーザーアンケート調査(有効回答844件)では、約40%の利用者が「月に20時間以上の時短」を実感していると回答しています。
大規模建築現場や仕上検査の管理負担を平準化したいゼネコン・建築会社
- 竣工前の仕上検査や配筋検査における是正指示・確認の往復作業が膨大である
仕上検査機能や配筋検査オプションを活用することで、不具合箇所の写真・位置情報・是正指示を一元管理できます。株式会社松本組の導入事例では、仕上検査機能の活用により1日あたり3〜4時間の効率化が実現された実績があります。 - 複数の現場間で図面更新情報の共有漏れや古い図面での施工トラブルが発生している
クラウド上で最新図面を一括管理し、タブレットから常に最新版を閲覧できる環境を整えられます。丸彦渡辺建設株式会社の導入事例では、グループ全体で年間約500時間程度の削減効果が確認されています。
向いていない企業・現場
受発注や原価管理、見積・請求までを1つのシステムで統合管理したい企業
- 現場の施工管理だけでなくバックオフィス事務や工事台帳の連動を最優先したい
SPIDERPLUSは現場の図面管理、写真整理、各種検査業務に特化したツールであり、見積作成、請求書発行、実行予算や原価管理といった会計・受発注関連機能は搭載されていません。工事の受発注や原価管理を包括的に一元化したい場合は、統合型の施工管理SaaSや基幹システムとの併用、または別ツールの検討が必要です。
現場での主たる利用端末として古い世代のタブレットやスマートフォンを活用したい企業
- 余剰となっている古い端末を現場に配備して初期コストを抑えたい
SPIDERPLUSの推奨環境はiPadやiPhoneであり、最新から3世代前までのOS環境が推奨されています。またApple Pencil以外のタッチペンはサポート対象外とされているため、社内にある旧型の端末や安価なサードパーティ製スタイラスペンでは正常に動作しない可能性があり、端末の更新費用が発生する点に留意が必要です。
類似ツールとの比較
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 向いている企業 |
|---|---|---|---|
| SPIDERPLUS | 図面管理、電子小黒板、帳票出力に加え、外部計測機器連携や配筋・仕上検査など設備・建築の現場検査実務に特化 | 要問い合わせ(ライセンス制、個別見積もり) | サブコン(設備工事業)、ゼネコン、専門工事会社、検査業務の内業を削減したい企業 |
| ANDPAD | 写真・図面・工程表から見積・受発注・請求・チャットまで、現場とバックオフィスを網羅する統合型クラウドサービス | 要問い合わせ(初期費用+月額利用料) | 住宅建築、リフォーム、商業建築、元請として工事台帳や原価まで一括管理したい企業 |
施工管理ツールの選定においては、自社が解決すべき課題が「現場の検査・記録業務の省力化」にあるのか、「受発注や原価管理を含めたプロジェクト全体の統合」にあるのかを切り分ける必要があります。
SPIDERPLUSは、現場監督や職人が現場で行う「図面の確認」「写真撮影」「計測・検査」という現場実務に焦点を絞っています。特に風量測定器や圧力計などの外部機器と直接連動し、現場での測定数値をそのまま帳票化できる点は設備工事業や専門工事業者にとって大きな強みとなります。現場での記録作業や帳票作成による残業時間を直接削減したい場合には有力な候補となります。
一方、ANDPADは現場の写真や工程管理にとどまらず、見積作成、受発注、請求管理、原価管理といったバックオフィス領域までを幅広くカバーする統合型プラットフォームです。住宅建築やリフォーム、工務店など、元請として案件ごとの収支管理や協力会社との受発注手続きまでを一元化したい場合は、ANDPADのような統合管理型システムが適しています。
料金・プラン
SPIDERPLUSの現在の料金体系は、利用人数、端末台数、業種別オプション(配筋検査、仕上検査、風量測定連携など)の構成に応じた個別見積もりとなっており、公式サイト上での定価リストは公開されていません。導入を検討する際は、直接問い合わせて見積もりを取得する必要があります。
なお、一般社団法人日本建設業連合会が公開した「お手軽便利なICTツール集」(2022年)の記載情報によると、過去の公表実績として「初期費用40,000円〜、1IDあたり月額3,000円、サーバー費用月額8,000円〜(いずれも税抜)」、オプションパック各月額2,750円(税込)という料金体系が採用されていた経緯があります。現在の正式な価格設定や契約条件については、見積もり時に最新情報を確認してください。
見積もりを依頼する際は、以下のポイントを確認することが推奨されます。
- 課金単位と対象アカウント
利用する现场監督や作業員の人数(ID数)に基づく課金か、登録する端末台数に応じた課金か。 - サーバー費用および基本料金の有無
IDごとのライセンス費用のほかに、プロジェクト単位や企業単位での月額サーバー利用料が発生するかどうか。 - 必要な業種別オプションの範囲
建築向け検査や設備向け計測機器連携など、自社の工種に必要な機能がオプション料金として加算されるか。 - 初期費用とサポート体制の範囲
導入時の初期設定費用、説明会や講習会の開催費用、BPOサービス利用時の費用が含まれているか。
導入事例・実績
SPIDERPLUSは、スパイダープラス株式会社の公表データ(2026年6月末時点)によると、累計導入社数2,200社以上、利用者数78,000人以上の実績を有しています。公式サイト等で公開されている具体的な企業事例および定量的な効果は以下のとおりです。
丸彦渡辺建設株式会社(建築業)
北海道および東京を中心に展開する丸彦渡辺建設株式会社では、図面管理や現場写真の整理、情報共有の効率化を目的にSPIDERPLUSを導入しました。その結果、グループ全体で年間約500時間程度の労働時間削減に成功しています。
株式会社松本組(建築業)
大阪府の総合建設会社である株式会社松本組では、竣工前の仕上検査業務の効率化に向けてSPIDERPLUSを採用しました。仕上検査機能を活用することで、検査および是正確認にかかる作業において「1日あたり3〜4時間の効率化」を実現しました。導入から1年未満で工事部所属社員の80%が活用するまでに定着が進んでいます。
オーク設備工業株式会社(空調衛生・電気設備業)
空調・衛生・電気設備工事を手がけるオーク設備工業株式会社では、現場における記録作業や写真整理、帳票作成の負担軽減を目的に導入を行いました。現場実務における作業効率化により、担当者1人あたり「月8.5時間の時間削減」を達成したことが報告されています。
外部計測機器(IoT)連携と専門検査機能の対応実務
SPIDERPLUSが一般的な施工管理アプリと大きく異なる点として、設備工事や専門工事の各種検査実務に対応した計測機器連携機能が挙げられます。現場での実測データを手書きで記録し、事務所に持ち帰って帳票ソフトに再入力するという二重の手間を排除する設計が取られています。
具体的には、以下のような測定機器や検査業務に対応しています。
- 空調衛生設備向け測定機能
風量測定器、圧力計、温湿度計と連携し、試運転調整や気密試験における数値をタブレットへ直接転記します。計測値があらかじめ設定された基準値内にあるかを現場で即座に判定可能です。 - 電気設備向け測定機能
幹線測定や照度計との連動に対応しており、受変電設備や各室の照度測定記録を効率的にデジタル化します。 - 建築構造・仕上検査機能
配筋検査における径や配筋間隔の記録、杭打ち施工記録の管理、内装・外装の仕上検査における不具合箇所のプロットと是正指示の追跡を同一図面上で行えます。
導入前に知っておきたいこと
SPIDERPLUSを導入するにあたり、現場環境や運用面に関してユーザーから報告されている課題や注意点を確認しておくことが重要です。
モバイルアプリのファイル管理・操作性に関する留意点
ユーザーレビューや利用者の報告において、タブレットアプリ側から写真を削除してもサーバー側にデータが残り続けるため、完全に不要なデータを整理する際にはPC側のブラウザ画面から削除作業を行う必要がある点が挙げられています。また、端末側から写真の保存フォルダ移動や帳票テンプレートの直接編集ができない仕様に対する改善要望も見られます。撮影時の端末の傾きによって黒板の表示向きが反転・縮小される現象や、図面に紐付ける写真の出力解像度が固定されている点など、操作環境に慣れが必要な部分も報告されています。
バックオフィス・会計機能のスコープ
前述のとおり、本ツールには見積作成や請求管理、実行予算や原価管理などの受発注・会計機能は含まれていません。現場監督の現場作業効率化には直結するものの、会社全体の経営数値管理や協力会社への発注処理を一括して自動化したい場合には、別の基幹システムや専用ツールとの併用を前提に業務フローを組み立てる必要があります。
対応端末・推奨OSの制限
SPIDERPLUSの推奨端末はiPadおよびiPhone(iOS/iPadOS)であり、サポート対象は「最新から3世代前まで」と設定されています。現場で過去に購入した古い世代のiPadを流用しようとした場合、OSのアップデート非対応やスペック不足によりアプリが正常に動作しないケースがあります。また、手書き入力においてApple Pencil以外のスタイラスペンはサポート対象外とされているため、ハードウェアの配備状況について事前の確認が必要です。
導入の流れ・期間
SPIDERPLUSの導入は、一般的なSaaSと同様に以下のステップで進められます。具体的な導入期間や稼働までのスケジュールは契約規模やオプション内容により異なるため、問い合わせ時の確認が必要です。
- 問い合わせ・ヒアリング
公式サイトの専用フォーム等から問い合わせを行い、自社の工種、現場規模、解決したい課題についてのヒアリングを受けます。 - 製品デモ・トライアル
実際のアプリ画面や測定器連携の動作についてデモンストレーションを受け、現場の運用に適合するかを確認します。運用要件に応じたトライアルの実施についても相談します。 - プラン提案・個別見積もり
利用するアカウント数、端末台数、必要な業種別オプション(配筋、仕上、風量等)に応じた見積もりが提示されます。 - 契約・アカウント発行
契約締結後、管理用のマスターアカウントや利用者ごとのIDが発行されます。 - 初期設定・導入支援(説明会・勉強会)
図面データの取り込みやユーザー登録、各種帳票フォーマットの設定を行います。必要に応じて専任スタッフによる導入時説明会や操作指導、セミナーが実施されます。また、検査準備の負荷を抑えるためにBPOサービスの活用を組み込むことも可能です。 - 現場稼働開始
対象現場での利用を開始します。稼働後も専用の電話・メールサポートデスクによる操作案内が提供されます。
よくある質問(FAQ)
- Android端末でも利用できますか?
- 公式サイトの推奨環境として明記されているのはiPadおよびiPhone(iOS/iPadOS)です。現場での図面確認や写真撮影、検査機能はiOS端末を前提として開発されているため、導入時は推奨されているiPad等の配備を検討してください。なお、PCでの管理業務はWindows等のWebブラウザから利用可能です。
- 通信環境がない地下やトンネルなどの現場でも使用できますか?
- 使用可能です。事前に図面データを端末内にダウンロードしておくことで、オフライン環境下でも大容量図面の閲覧、メモの書き込み、写真撮影、検査入力が遅延なく行えます。通信圏内に戻った際にサーバーへデータが自動同期されます。
- 撮影した写真は公共工事の電子納品基準に対応していますか?
- 一般社団法人施工管理ソフトウェア産業協会(J-COMSIA)の信憑性確認検定(改ざん検知機能)に適合した電子小黒板機能を備えており、公共工事における電子納品基準に対応した写真管理が可能です。
- 現場の職人や高齢の現場監督でも操作できますか?
- 直感的に扱えるタブレット操作を前提にUIが設計されていますが、導入当初の定着には段階的な移行が推奨されます。初期段階では「電子小黒板での写真撮影」から開始し、慣れに応じて「図面共有」「検査連携」へと利用範囲を広げることで、ITリテラシーに不安のある現場でもスムーズに運用を定着させやすくなります。また、導入時説明会や勉強会などのサポート体制も用意されています。
- 最低利用期間や解約条件はどうなっていますか?
- 公式サイト上では契約期間や解約条件に関する一律の規定は公開されていません。ライセンス契約の形態や契約期間については、個別見積もりおよび商談時にベンダーへ直接確認してください。